新しい固体^<19>F-NMR法を用いたフッ素化高分子の構造とダイナミックスの解明
【研究分野】高分子構造物性(含繊維)
【研究キーワード】
固体NMR / フッ素化高分子 / 高分子構造 / 分子運動性 / 交差分極 / 緩和時間 / ポリフッ化ビニリデン / ポリフッ化ビニル
【研究成果の概要】
機能性含フッ素高分子の固体構造と分子運動性(ダイナミックス)解析の新しい方法論開拓を目的として、固体^<19>Fマジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)分光法と^1H【double arrow】^<19>F交差分極(CP)/MAS NMR法を基礎とした種々の測定・解析手法の開発を行った。すなわち天然存在比の高い多スピン系でのCP動力学の解析法、各種磁気緩和時間の選択的な観測法、結晶部に構造の乱れが多く非晶部との分子運動性の違いが小さい場合のスペクトル分離法、非晶質高分子における局所的な分子運動性や原子間距離の評価法などの開発を行った。まず、明確な結晶多形を有する(1)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や相構造が未だ明らかでない(2)ポリフッ化ビニル(PVF)に^1H【double arrow】^<19>F CP/MAS NMRを適用し、結晶部分と非晶部分のスペクトル分離を高精度に行って、I.各成分の強度比から結晶/非晶分率と構造異性を、II.共鳴位置(化学シフト)から立体構造(主鎖のコンホメーション)を、III.^1H【double arrow】^<19>F間のCP動力学と磁気緩和挙動の解析から結晶部でのF-H原子間距離、結晶多形ごとの運動性の違い、結晶部と非晶部の分子運動性の違いを、IV.温度可変(VT)測定におけるスペクトル変化から結晶/非晶分率や構造異性などに関する情報を得た。次いで、これらの手法を非晶性ペルフルオロ高分子である(3)サイトップ(Cytop)、結晶性の(4)エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、強誘電性高分子である(5)フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体(P(VDF/TrFE))、相溶性の(6)ポリフッ化ビニリデン/ポリメチルメタリレートのブレンド物、高耐候性の(7)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)と(8)PCTFE/PVDFのブレンド物、光導波回路に用いられる(9)含フッ素ポリイミドなどの構造解析に適用し、^<19>F MAS及び^1H【double arrow】^<19>F CP/MAS NMR法が機能性含フッ素高分子の固体構造/分子運動性解析に極めて有用であることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安藤 勲 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】15,400千円 (直接経費: 15,400千円)