加熱延伸で誘起される逐次液晶相転移を活用したポリイミド膜の配向制御法確立
【研究キーワード】
全芳香族ポリイミド / 加熱延伸 / 液晶 / 逐次相転移 / 放射光X線散乱法 / 液晶逐次相転移 / 階層構造 / 配向秩序 / 放射光X線散乱 / 時分割偏光分光測定
【研究成果の概要】
含フッ素ポリイミドであるPMDA-TFDBの前駆体であるポリアミド酸(PAA)を定荷重下で延伸しつつ,イミド化温度まで加熱することで高配向のPMDA-TFDB配向フィルム試料が得られることを見出している.この加熱延伸過程においてin-situの広角X線散乱(WAXS)測定を実施したところ,イミド化に先駆けてPAAが配向してネマチック相(N相)が発現し,このN相がスメクチック相(Sm相)へと変化する逐次相転移現象を見出した.配向したSm相はイミド化とともに消失し,高配向の結晶が出現した.さらにin-situの小角X線散乱(SAXS)実験では,N相の出現とともに長周期が観測され,イミド化後の試料においても4点に分裂したバタフライ型の長周期散乱が観測された.このような延伸誘起の逐次相転移現象は前例がなく,極めて興味深い.一方,加熱延伸するPAAの膜厚を減らすと,イミド化後に見られた長周期散乱は観測されなかった.比較的厚い試料の場合,延伸過程で残留する溶媒量がより多くなると考えられるため,残存溶媒が長周期構造の発現に関与していることが示唆された.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)