フェロモンを担体とした嗅覚コミュニケーションシステムの解明
【研究分野】応用動物科学
【研究キーワード】
シバヤギ / 性フェロモン / 4エチル脂肪酸 / 光学異性体 / ラット / 警報フェロモン / 自律機能 / 行動変化 / フェロモン / 4エチルオクタン酸 / 5αリダクターゼ / フェロモン受容体候補遺伝子 / Gi2受容体結合蛋白 / 鋤鼻神経細胞 / 嗅上皮
【研究成果の概要】
雄ヤギフェロモン分子の単離・精製・同定 雄ヤギ被毛よりフェロモン活性物質の分離を試みるため、超臨界CO2クロマトグラフィーを用いて分取を行い、得られたフェロモン活性陽性分画についてガスクロマトグラフ質量分析計により分析を行った。その結果、以前より雄ヤギ特異臭の構成成分として報告されていた一連の4-エチル分枝脂肪酸およびそのエステル類が複数検出された。そのうち、4-エチルオクタン酸、4-エチルデカン酸、およびそれらのメチルエステルとエチルエステル類の計6化合物を合成し、それらのフェロモン活性を評価したところ、生物試料と同濃度での活性はほとんど認められず、6種の化合物すべてを混合して呈示したときのみ弱い活性が認められた。またこれらの合成化合物と生物試料中の同化合物とでは光学異性体比が異なっていることが示唆された。
ラットを研究モデルとした情動フェロモンの探索に関する研究 あらかじめ雄ラットにfoot shockを与えておいた箱の中に別の雄ラットを導入したところ、shockを与えなかった場合の対照群と比較して探索行動、活動量、探索行動の上昇と休息行動の低下が観察された。同時にテレメトリーシステムにより自律機能に対する影響を解析したところ、新奇環境に導入されたことによる体温の一過的上昇(stress-induced hyperthermia)が対照群に比べて大きくなった。また神経活動冗進の指標であるFos蛋白の発現が副嗅球で観察されたことから、警報フェロモン提示による行動的、自律機能的な反応の増強が明らかとなった。さらに実験箱の中に麻酔した雄ラットを導入し、そこにテレメトリー送信機をあらかじめ留置した別の雄ラットを導入したところ、麻酔したラットの鼻部を局所刺激した場合にそれを嗅いだラットで行動反応の変化が観察された。一方で体温の反応は部位にかかわらず一定であった。この事から、成熟雄が放出する警報フェロモンは2つのカテゴリーに分類できることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
菊水 健史 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
武内 ゆかり | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2001 - 2004
【配分額】39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)