生体が持つサーモスタットの動作原理と分子基盤
【研究分野】環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
【研究キーワード】
サーモスタット / センサー / 感覚器 / 温度受容器 / 体温調節 / 系統発生 / 分子構造
【研究成果の概要】
皮膚を冷却すると、冷受容器は冷線維に向心性のインパルスを発し、それが脳に届くと冷感が生じると考えられる。生理学では、冷受容器は温度を発火頻度(暗号)に変換するセンサー、脳は暗号を解読して皮膚温を検出すると捉えてきた。しかし、発火頻度は、温度変化に対し、閾応答、過渡応答を示すので、温度と頻度に1対1の関係はない。そこで、温度受容器をセンサーだとは考えにくい。これに対し、冷受容器それ自身が、皮膚温が閾より高いかどうかを比較し、高い時にインパルス(駆動信号)発するサーモスタットだと代表者は提案している。そのインパルスが,産熱効果器を駆動すれば,他の中枢なしに,温度調節が可能となる。
温度受容器をサーモスタットとするこの新しい概念の妥当性を検討するため,哺乳類,無脊椎動物,単細胞生物の研究者が集まり、生物種ごとのサーモスタットについての研究会を開催した(京都大学、2000年7月7日)。そこでは、サーモスタットの重要性,特徴,実体,遺伝子,さらにサーモスタットが駆動する自律性・行動性効果器などの問題点を議論した。
【研究代表者】