新規生理活性物質の創製を指向する海産天然有機化合物の合成的研究
【研究分野】生物有機科学
【研究キーワード】
海産天然物 / 合成 / ブリオスタチン / ワカイン / マカルバミン / テトラヒドロピロロイミノキノン
【研究成果の概要】
海産由来の微量生理活性物質の合成品による詳細な活性評価を目的として全合成研究を行い、平成7年度において以下に示す研究成果を得ることができた。
ブリオスタチン類の合成 報告者は、平成6年度までに全ての類縁体に共通の上半球部分の集約的な合成に成功している。本年度においては、残る下半球すなわちC20-オキシ、、C20-デオキシ及びC22-オキシ型の誘導体の合成に成功することで、全てのブリオスタチン類の合成ユニットを得たことになる。さらに、C22-オキシ誘導体について、ジュリア-カップリング法により上半球部分との結合に成功している。んざい、マクロラクトン化による閉環反応に先立ち、天然物の有する官能基導入のための保護基の組み替えの段階に至っている。
テトラヒドロピロロイミノキノンアルカロイドの合成 本年度は、マカルバミンFおよびワカインの合成を中心に研究を行った。前者では、ベンゾチオフェン部分の導入、特にチオフェン環の閉環の時期が問題と考えられた。そこで、テトラヒドロピロロキノリンに鎖状のアミンを縮合させた後にベンゾチオフェン環に閉環させる方法と、初めにベンゾチオフェン環を持つアミンを合成し、その後テトラヒドロピロロキノリンと縮合させる方法の2種類の経路から合成を検討し、いくつかの重要な中間体を得ることに成功している。また、それぞれの経路について硫黄原子の代わりに酸素原子を有する化合物をモデルとして活用した研究を行い、ジヒドロベンゾチオフェン誘導体とジヒドロベンゾフラン誘導体との反応性の相違など、合成研究の上で重要な知見を得ている。後者においては、目的物が基本となるテトラヒドロピロロイミノキノンにさらにピロール環が結合しているため、その導入法とその時期について検討した。特にピロールの環化には、芳香環に電子供与基の存在が必要となることが判明した。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1995
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)