超高分解能次世代シミュレーターで探る天の川銀河の成り立ち
【研究分野】天文学
【研究キーワード】
銀河形成 / 星形成 / 天文シミュレーション / 並列化 / 適応格子細分化法 / 観測的可視化 / 銀河構造 / シミュレーション / 自己重力 / 粒子法 / 格子法 / 並列計算機 / 専用計算機
【研究成果の概要】
1.本研究で開発を進めてきた並列化N体+SPHコード(ASURA)と専用計算機GRAPEを付加したPCクラスター装置「天の川シミュレータ」を完成させた。
2.これを用いて、CDM宇宙における銀河形成過程を明らかにする基礎となるシミュレーションを実行した。それらから得られた成果は以下の通りである。
(1)孤立した銀河を10^7体の粒子を表した高精度シミュレーションをおこなった。これにより銀河中の分子雲密度(〜10^2cm^<-3>)まで星間ガスの相変化を追跡することが可能になった。
(2)これまで現象論的に導入されていた星形成パラメータ(このC_<eff>を用いて、単位体積あたりの星形成率=C_<eff>Xガス密度/自由落下時間と通常仮定)について、高精度シミュレーションではC_<eff>の値に拠らず密度〜10^0cm^<-3>程度のガスの輻射冷却時間が星形成率を決めていることが明らかとなった。
(3)低い密度までしか追跡できない低制度シミュレーションで取るべき星形成パラメータの値を突き止めた。
(4)孤立した銀河同士の衝突シミュレーションを行い、衝突初期に爆発的星形成(スターバースト)が生じることをシミュレーションではじめて見いだした。
3.差分法に基づいて自己重力磁気流体力学をシミュレーションするAMR(適応格子細分化法)プログラムを開発した。星形成過程で起こる分裂現象にこれを適用し、これまでの入れ子状格子シミュレーションの結果が再現できることを確認するとともに、遠隔連星が形成される場合について適用可能であることを示した。
4.1,3の結果を観測予想するための観測的可視化研究を進め分子回転遷移、星間塵熱輻射について輻射輸送シミュレータを作成し、スターバースト銀河中心、星形成途上のコアからの輻射について調べ、論文で報告した。
【研究代表者】