形状がフレキシブルな有機半導体放射線検出器の高度化と新しい放射線量計測手法の開発
【研究キーワード】
有機半導体 / 放射線検出器 / 結晶化 / パルス計測化 / 線量計測 / 放射線計測 / X線 / 粒子線・中性子 / インクジェット / 中性子 / 単結晶化
【研究成果の概要】
申請者らは、放射線計測用蛍光体(シンチレータ)の発光を有機半導体光出器(有機PD)で測定する新型放射線計測手法について研究し、放射線計測への適用可能性を示してきた。有機PDの形状の可変性を生かすことで、今までにない 軽量小型で、かつ動的使用に適す放射線検出器が実現可能であると考えている。
昨年度の研究により、インクジェット法によって銀インクを塗布することで、有機半導体放射線検出器として動作させることが可能であることが示した。しかし、今年度、絞り込んだX線を素子に照射して、照射位置と電流発生量を調べたところ、電極の金属にX線を照射した場合に大きい電流が発生しているという結果が得られた。すなわち、金属を含有する電極材料を用いることは「生体等価」という長所を損なうものであることが分かった。そこで、今後は可能な限り、薄膜金属とカーボンペーストを電極として使用することとした。
パルス計測化については、ノイズ成分による暗電流等の理由により、測定できていない。今後、ガードリングの採用や材料の再探索等により、パルス計測化の実現を目指す。高速中性子を対象とする測定についても、まずシンチレータを併用する間接測定から検討を行う。
本検出器の用いる線量計測概念構築のため、ブロック状のシンチレータの表面及び内部に素子を設置し、電流計測を行った。シミュレーションによる電流発生量推定値と比較したところ、同様の傾向が示されたが、シンチレータ内でのシンチレーション光の反射等の考慮が不十分だったため、ややずれた値となった。シンチレーション光の伝搬についてもシミュレーションにおいて考慮することとし、医療用に適した体系で実験を行う予定である。
【研究代表者】