硬X線・ガンマ線観測のための化合物半導体を用いたイメージングスペクトロメータの開発
【研究分野】天文学
【研究キーワード】
CdTe / CZT / CdZnTe / ピクセル検出器 / 放射線検出器 / ガンマ線 / 検出器 / テルル化カドミウム / X線
【研究成果の概要】
われわれは、これまで、高い分解能を持つテルル化カドミウム(CdTe)ダイオード検出器の開発を行い、それを用いてガンマ線イメージング検出器の開発を行ってきた。本研究では、第一に、2.15cm角というこれまでにない大きさのCdTe検出器を製作し、その性能を評価した。検出器の均一性は極めてたかく、60keVのガンマ線に対して、2.7keV(FWHM)という分解能を得ている。宇宙への応用を意識して、振動試験、ビーム試験などを行ない、最終的に気球実験を行った。その結果、本検出器を衛星搭載検出器として十分に用いることができることがわかった。さらに、この大型の素子を数10段というよう段数を積み重ねたCdTe検出器を実際に作り、ガンマ線に対して高い感度を持つことを確認した。その他にも、200ミクロン角のピクセルをもち、1024のピクセル数を持つガンマ線検出器の実証、1mm角の大きさを持つCdTe素子を1024個並べた検出器の基礎研究を行った。また、検出器に対する理論的な研究では、CdTeダイオードを常温で動かすときに、問題であった、ポラリゼーション現象に着目し、理論的な考察を行うことで、この現象が、深いアクセプタのイオン化によって説明がつくことを見いだし、現象の温度依存性やバイアス電圧依存性を説明することに成功した。さらに、Swift衛星で用いられるテルル化亜鉛カドミウム(CdZnTe)半導体検出器のモビリティ・寿命特性を、スペクトルからフィッティングによって求める方法を開発した。この方法は、われわれが参加しているSwift衛星のプロジェクトによって、正式に採用され、効果を発揮している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
黒田 能克 | 三菱重工株式会社 | 名古屋誘導推進システム製作所 | 課長 |
大野 良一 | 株式会社アクロラド | 沖縄工場 | 取締役 |
尾崎 正伸 | 宇宙科学研究所 | 宇宙圏研究系 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】13,500千円 (直接経費: 13,500千円)