噴火推移の高頻度赤外解析:長時間・短時間スケールの変動と前兆現象
【研究キーワード】
リモートセンシング / 火山 / ひまわり8号 / 噴出率 / 噴出的噴火 / 西之島 / しきさい / GCOM-C / SGLI / 溶岩流 / 火口湖 / ブルカノ噴火 / 噴火推移 / 衛星 / 熱異常
【研究成果の概要】
本年度は,低粘性溶岩の噴出的噴火において,ひまわり8号のリアルタイム観測で得られる熱異常から噴出率を迅速に推定する方法を開発した.噴出的噴火において,1.6um 赤外画像の熱異常は,噴出率変化をよく反映していることが指摘されている.このことは,両者の間の相関を吟味し,回帰式を求めることにより,衛星による熱異常観測から噴出率を推定できることを意味する.低粘性溶岩の噴出的噴火である2017年西之島噴火を対象に,ひまわり8号の1.6um画像での熱異常と噴出率の関係を検討し,両者の間に高い相関関係があること(r^2=0.99)を確認した.また,この回帰式が,Y=0.47X(Y :噴出率 10^6 m3 day-1 ,X :輝度値 10^6 W m-2 sr-1 m-1)と求められることを示した.さらに,2017年西之島噴火と同様の低粘性溶岩の噴出的噴火である2015年ラウン噴火の溶岩を同図にプロットすると,2017年西之島溶岩による回帰直線の延長上に載ることが分かった.
この方法を用いて,2019年12月に始まった西之島4期噴火最初期の噴出率の推定を行った.12月5日-6日における輝度値の最高は,1.07 x 10^6 W m-2 Sr-1 m-1であり,先の回帰式により噴出率は 0.50 x 10^6 m3/dayと推定される.この値の妥当性を調べるために,ALOS-2画像を利用した地形的方法により,2019年12月5日12時00分頃から6日11時18分(JST)までの23.3時間(0.97日)の噴出率を推定した.この間の溶岩の噴出体積は455,000 m3 と見積もられ,流下時間が23.3時間であることから,0.48 x10^6 m3/dayの噴出率が得られた.この値は,ひまわりの熱異常による噴出率の推定値(0.50 x 10^6 m3/day )とほぼ一致している.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安田 敦 | 東京大学 | 地震研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)