大気・海洋の微粒子観測への実用化と国際共同広域観測のための基盤形成
【研究キーワード】
エアロゾル / 海洋微粒子 / 微粒子測定 / 黒色炭素 / 鉱物ダスト / 光散乱 / 大気微粒子 / 海洋懸濁粒子 / 観測装置
【研究成果の概要】
新型コロナウイルス流行のため、渡航先研究機関が外国人の受入れを停止中であるため、渡航後に実施する予定の実験研究の予備研究を進めた。特に、本研究で実施する予定の大気・海洋中の黒色炭素・鉱物ダスト粒子の同定・定量測定を可能にするための技術的基盤を整えた。まず、液中粒子の複素散乱振幅を単一粒子毎に定量的に測定する方法「複素散乱振幅センシング」の実用化装置を完成させた。本装置では、大気中・海洋中の粒径0.2-5umの範囲の固体粒子について、複素散乱振幅から、屈折率または粒子形状が異なる粒子種を判別し、各々の粒径別数濃度を導出することができる。黒色炭素・鉱物ダスト粒子・生物粒子について、実験用標準粒子を導入して応答特性を評価した。2019年4月に長崎県福江島で観測した大気中の黒色炭素粒子の直接観測データと、Aerosol Devices Inc社のスポットサンプラーA110を用いて水中捕集した黒色炭素粒子の複素散乱振幅データから導出された粒径分布を比較した結果、一部の観測期間に高い相関がみられたものの、全観測期間では相関が悪かったため、スポットサンプラーの黒色炭素粒子の捕集性能に問題があることが示唆された。そこで本研究では、大気中の黒色炭素・鉱物ダスト粒子・生物粒子を液中に捕集して複素散乱振幅センシングにより連続観測することを可能にするため、流量条件や捕集効率を改良した新たな粒子捕集装置(Particle Sampler with Spiral Condenser: PSSC)を開発し、大気中の黒色炭素粒子の捕集効率の性能評価を行った。その結果、大気中の黒色炭素のほとんどを占める粒径範囲0.06-1.0umにおいて、80%以上の捕集効率を示した。
【研究代表者】
【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
【研究期間】2019 - 2022
【配分額】15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)