アジアモンスーンの急激な変動伴う日本海海洋環境変動の高時間解像度復元
【研究分野】環境動態解析
【研究キーワード】
日本海 / アジアモンスーン / 風成塵 / 後氷期 / 偏西風 / 表層水 / 深層水 / 酸素同位体比 / 古海洋変動 / 最終氷期 / 東シナ海 / 太陽活動 / モンスーン / 14C年代 / アルケノン
【研究成果の概要】
本研究では、日本海から採取された複数のコアを用いて、特に最終氷期から後氷期にかけての日本海海洋環境の高時間解像度復元を行ない、同じコアからモンスーン強度変動の指標(風成塵粒度)を取り出して海洋環境指標と比較する事により、アジアモンスーンの変動に応答して日本海の表層および深層環境がどのように変化したかを立体的に明らかにする事を目的として研究を行なった。
海洋表層水環境の指標としては、浮遊性有孔虫の酸素同位体比、アルケノン水温、浮遊性有孔虫の^<14>C年代、珪藻群集組成、有機物含有量などを用い、表層水温、塩分、起源、生物生産性などを推定した。深層水の指標としては、平行葉理保存度、有機炭素/硫黄比、炭酸塩鉱物含有量、底生有孔虫の酸素同位体比などを利用し、深層水の溶存酸素濃度、循環速度、CCDなどを復元した。更に、モンスーン強度の指標としては、風成塵の粒度、フラックス、石英のESR信号強度、鉱物組成などを用い、偏西風の強さ、黄砂の供給源、後背地の乾燥度などを推定した。
こうした結果を基に、表層水環境、深層水環境、アジアモンスーン変動の位相関係を調べ、夏季モンスーンフロントが黄河、揚子江集水域に達した時期に栄養塩に富み、塩分が低い黄海・東シナ海沿岸水域が拡大して日本海に流入し、日本海の生物生産性を上げると共に弱い密度成層を引き起こして深層水循環を低下させ、深層水の還元化を招いたとするTada et al.(1999)の仮説を検証し、それが基本的に正しい事を示した。また、夏季モンスーン変動に伴い、黄海、東シナ海沿岸水の日本海への流入量が増加した時に、日本海の水温分布、表層における生物生産性、深層水循環はどう変化したか、そうした変化はどのくらいの時間で起こったのか、をより具体的に明らかにした。更に、規模は小さいが、同様の周期や変動様式を持った変動が、後氷期にも存在した可能性も示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 正伸 | 北海道大学 | 大学院・地球環境科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
横山 祐典 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
板木 拓也 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 特別研究員(PD/">(Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】11,400千円 (直接経費: 11,400千円)