東アジア大陸における白亜紀古気候の時空変化:温暖期の大気循環システムの解明
【研究キーワード】
古気候 / 白亜紀 / アジア大陸 / 後背地風化度 / 砂漠化 / 後背地風化作用 / 東アジア大陸
【研究成果の概要】
本研究では,白亜紀における古気候を,北緯25°付近(北ベトナム),北緯20°付近(中南部ベトナム),ならびに,0°付近(ボルネオ)に明らかにしてきた.その結果,中期白亜紀の極温室効果期における気候変動の応答を明らかにした.すなわち,北緯25°では極度の乾燥化,北緯20°では中程度の乾燥化,赤道直下では湿潤環境の維持が検知された.この結果からは,乾燥気候に転化した気候帯の南限が北緯20°から0°に位置していることを示唆している.このことを確かめるため,かつ,乾燥気候帯の範囲を正確に認定するために,南ベトナムPhu Quoc島(北緯15°)にて古気候解析をおこなった.南ベトナムでは,後背地風化指標のW値は,前期白亜紀で90程度,白亜紀中期で80程度であった.粘土鉱物組成は,白亜紀の前期から中期にてほぼ変化が見られず,わずかにカオリナイトの量が中期に減少した.この結果は,北緯15°では,熱帯雨林気候が白亜紀を通して継続していた事になる.このことから,中期白亜紀に発生した乾燥気候帯の南限は南ベトナムより北から,中南部ベトナム付近までの北緯20°の範囲に位置していたことが判明した.
前年度までの結果より,中期白亜紀に発生した上記の乾燥気候帯の北限は浙江省(北緯30°)付近だと判明している.したがって,アジア大陸にて,乾燥気候に転化した地域の範囲を特定することに成功し,その範囲は北緯30°から北緯20°であったことになる.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)