トバ火山「レベル8」噴火による地球環境・生命・人類へのインパクト
【研究分野】地質学
【研究キーワード】
火山灰 / トバ火山 / 古気候 / 古水温 / アルケノン / 掘削コア / 気候変動 / 更新性 / モンスーン / 層序 / 大規模噴火 / 火山ガラス / 有孔虫 / 酸素同位体
【研究成果の概要】
本研究では,ちきゅうNGHP-02航海にてベンガル湾西部の大陸斜面で掘削・回収されたコアに挟在する火山灰層の地質学的,地球化学的検討を行ってその火山灰層の特定を行い,その前後での気候変動について検討した.浮遊性有孔虫の酸素同位体から,火山灰層の年代がおよそ7万年~7万4000年前であることが判明し,火山灰層から分離した火山ガラスの主要元素,微量元素組成,およびSr, Nd, Pb同位体分析から,この火山灰層がインドネシア・スマトラ島で約7万年前に噴火したトバ火山の新期噴火のテフラであることが判明した.このテフラの直上直下の層準からアルケノンを抽出し古水温を測定して古環境変動を検討した.
【研究の社会的意義】
インドネシア・スマトラ島のトバ火山は約7万年前に爆発的な噴火を起こした.その噴火は過去100万年間でも最大級といわれる.その時に噴出した火山灰は南アジア,インド洋,南シナ海と広く分布している.地球深部探査船「ちきゅう」でベンガル湾においてNGHP-02航海が実施され,トバ火山灰らしき火山灰層が回収された.本研究では,その火山灰層の詳細な検討と分析により,新期噴火のものであることを明らかにした.また,その火山灰層が含まれる堆積物は非常に堆積速度が高いため,高時間解像度での気候・海洋変動を記録している.火山灰層の直上,直下の堆積物の詳細な古水温記録を復元したところ,大変興味深い知見が得られた.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉村 寿紘 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 生物地球化学研究分野 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究協力者】 |
太田 雄貴 | |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)