沈み込む海山が島弧火山活動に及ぼす影響
【研究キーワード】
沈み込み帯火成活動 / 海山 / カムチャッカ / 日本 / 南米 / 沈み込み / 火成活動 / 日本列島 / アフリカ / ホットスポット / 沈み込み火成活動 / 島弧 / 火山活動
【研究成果の概要】
前年度採取した岩石試料のロシアからの輸送を行い、全岩・鉱物分析、およびデータ解析を進めた。コロナ禍のため、ロシアからの試料輸送は国際荷物便にておこなった。ロシアからの岩石輸送にあたっての輸出許可に時間がかかり、ロシア側研究者の判断で、許可の不要な個別輸送(一つ一つのパッケージを、1か月以上の間をおいて発送)した。このため、一通りの試料輸送が完了したのが2022年に入ってからであったが、到着したものから順番に分析を開始し、これまでに主成分元素組成分析および薄片作成を終了した。
また、日本列島上の火成活動に対する沈み込む海山の影響をを探るため、富士-箱根地域の火山岩の予備研究を開始した。地球化学組成データセット構築・統計解析を目的とし、効率的・高精度な分析方法を探るため、いくつかの試料について複数の処理方法を模索した。特に微量元素濃度については、主成分分析用のガラスビードをもちいたLA-ICP-MS分析の精度や確度を確認した。さらに高次元多変量統計解析の準備を開始した。日本列島に沈み込む海山のうち、茨城沖の海山列(その延長は富士山・箱根の方向に延びる)はHIMU・FOZOとよばれるホットスポット溶岩に類似するが、その組成は十分には把握されていない。将来の試料分析を想定し、類似する組成をもつアフリカ・ホットスポット火山の組成分析を行い、手法の確立とその特徴把握を進めた。
さらに、沈み込む海洋プレートの多様性とその島弧火成活動への影響を調べる一環として、チリ海嶺沈み込み地域の地下構造-火成活動・テクトニクスとの関連性を把握するため、チリ南部の三重会合点(南米プレートに、ナスカプレートと南極プレートの活動的拡大軸が沈み込む場所)周辺の地震探査を進めた。2年間の自然地震観測を終えた海底地震計合計14台の回収を、チリ研究者・チリ海軍の協力を得て行い、日本に向けての輸送作業を開始した。
【研究代表者】