マントル中の希ガス及び揮発性元素と地球進化に関する研究
【研究分野】岩石・鉱物・鉱床学
【研究キーワード】
マントル / 希ガス同位体比 / 揮発性元素 / 地球進化 / 物質循環 / 地殻流体物質 / 3He / 4He / 島弧 / 循環物質 / 超塩基性捕獲岩 / 中央海嶺玄武岩(MORB) / 急冷ガラス / インド洋 / 熱水活動 / マントル捕獲岩 / 破砕法 / レーザー加熱 / 大陸地域
【研究成果の概要】
本研究では、マントル中の希ガスや揮発性元素の状態を明らかにし、マントル内部での物質循環などを通じてその地球進化との関連を探るため、マントル物質や玄武岩試料などを分析対象として、それらの希ガス同位体比やベリリウム同位体比、元素組成などの測定を行い、以下のような結果を得た。
シベリア地域の10-40Ma程度の噴出年代をもつアルカリ玄武岩中に捕獲されていたレルゾライトから分離されたカンラン石について破砕法および段階加熱法によるガス抽出を試み、^3He/^4Heが大気の値よりも低いものが見いだされた。このことは、大陸下のマントル内に地殻流体物質などの影響が存在する可能性を示唆する。
インド洋・ロドリゲス三重点付近の海溝軸沿い部分から採取されたMORB(中央海嶺玄武岩)の急冷ガラスでは、^<40>Ar/^<36>Arに関してセグメント毎に異なった値を示し、海嶺下での熱水活動などにより数十km程度にもわたって均質化している可能性を示唆した。
北海道-東北日本弧の第四紀火山岩の^<10>Be/^9Be比を、タンデム加速器質量分析計により測定した結果、非島弧地域より明らかに大きい値を示し、島弧火山のマグマ形成に海洋性堆積物が寄与していることを実証した。
また幌満カンラン岩中の金雲母に対しては、そのAr同位体比と量との関係から、その形成には海水ないし地下水が関与していることを明らかにした。
これらの研究を通じて、地殻物質や地表水などがさまざまな形でマントル内へ影響を与えていることを明かにし、マントル進化に関しての物質循環の重要性を示した。
【研究代表者】