水-岩石反応実験と炭素循環シミュレーションによる地球初期二酸化炭素圧の推定
【研究分野】地球宇宙化学
【研究キーワード】
二酸化炭素 / 水-岩石反応 / 炭素循環
【研究成果の概要】
地球初期(始生代)表層環境(二酸化炭素分圧・酸素分圧・メタン分圧)の推定については活発な議論が行われているが、未だに決着がついていない。一般的に、地球表層環境に及ぼす各気体分圧の影響が大きいと認められているにも関わらず、実際の研究でその関係を確認できていないためである。本研究の目的はこの点を確認することにあって、平成26年度の内容は以下のようにまとめることができる。
①玄武岩-海水-二酸化炭素反応の実験:平成24年度から継続してきた二酸化炭素反応実験装置による溶解実験を行った。本年度は主として島弧および海嶺玄武岩試料に対するCO2・H2Oの反応実験を行った。25年度における反応条件(CO2分圧=0,1,5MPa, 反応温度=40℃)は変更せず、撹拌翼を用いた気液混合効果について検討した。その結果、撹拌が反応律速において効果的であることが分った。
②玄武岩の種類による溶解速度定数の検討:前年度の実験で開放系(流通系)と閉鎖系(バッチ系)で溶解速度が異なることが分かっている。富士山系玄武岩(島弧玄武岩)で水-岩石反応を閉鎖系で行った場合、k=10-11.7(25℃、pH=6~7)となり、開放系のk=10-10.7(25℃、pH=6~7)と大きく異なる。これはpHと温度による差異と結論できる。
③水素イオン濃度と溶解速度反応の実験:一般に、水溶液と水素イオン濃度の関係は化学反応における溶解度律速論として論じられており、特に、水‐岩石反応では中性域において顕著な変化をもたらすと言われている。このため、今回は水溶液のpHを6.9~7.2に保持しながら実験を行った。その結果、島弧玄武岩の溶解速度は海嶺玄武岩よりも大きい事が分った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 泰浩 | 東京大学 | 工学(系)研究科(研究院) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2012-04-01 - 2015-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)