紅河デルタ農村における超村落的な実践と空間認識の歴史的研究
【研究分野】東洋史
【研究キーワード】
国際研究者交流 / ベトナム / 近世 / 近代 / 歴史 / 農村 / 村落 / 人口移動 / 国際研究者協力
【研究成果の概要】
多くの村落において、近世・近代の社会に関する、大量の文献資料が存在した。家譜、冊封、玉譜、寄進碑文などであり、それらを収集しえた。相当程度網羅的であると考える。また古老に対する聞き取り調査によっても、社会主義化以前の社会に関する、貴重な情報が得られた。
これらのデータの内、聞き取りや資料状況に関ずるデータを整埋したものが、本報告書第1部である。文献資料に関しては、現在、整理中である。
本報告書第1部に簡単に目を通すと、まず第1に、儀礼を通じた、超村落的ネットワークが浮かび上がってくる。革命以前においで複数のむらが同一の宗教施設を共有したり、(その共有宗教施設ではない場合もあるが)同時ないし一連の、共同の祭礼活動をする、共同で祭礼を行う、祭礼における神輿の往来などが多くの村落において見られた。
より世俗的な領域、たとえば婚姻、ゾンホ(族)、生業(売買の場所、行商、出稼ぎなど)を通じた関係については、一般論としては、人口の多い村落ではむら内で処理可能で、他村との関係が少なく、人口が少ないむらは単一でそれらを行うのが困難なために、他のむらとの関係が必須となっていたように考えられる。
まず婚姻を通じた他村落との関係は、本調査対象地域では革命以前から一般的だったと考えられる。少なくとも村内婚規制はほとんど意識されていなかったように、聞き取りからはうかがえた。
村落を越えたゾンホ(族)は、上述の通り、大規模村における例は少なく、逆に少規模村においては、必然となっていたように考えられる。
生業を通じた他村落との関係も、聞き取りで広く確認できた。
【研究代表者】