80万年前に東南アジアで起きた小天体衝突の位置、規模、様式特定と環境への影響評価
【研究キーワード】
小天体衝突 / イジェクタ / 衝撃変成石英 / 衝突実験 / PDF / オーストラリア-アジア・テクタイト・イベント / マイクロテクタイト / 養老川ルート / 層状テクタイト / 日本海 / 千葉セクション / オーストラリア-アジア・テクタイト / 放射光XRD / IODP / 電子スピン共鳴 / カソードルミネッセンス
【研究成果の概要】
2021年度に入ってもコロナ感染の波は繰り返し、べトナムでも日本とは位相がずれた形で感染の波が繰り返された。ベトナムへの渡航は一応可能となったものの、県をまたいだ移動が制限されていたため、ベトナム南部調査が実施出来ぬまま年度末を迎えた。ベトナム南部におけるイジェクタの層厚、粒度、組成のデータの取得は決定的に重要なため、計画の1年延長を申請して認められた。
ベトナム調査の延期に伴い、イジェクタ堆積物試料の分析や実験を集中して行う様に計画を変更した。特に、国際誌に投稿した原稿に対して、我々が報告した衝撃変成石英が、これまで知られている衝撃変成石英といくつか特徴が異なることが指摘された。我々はこれが衝突の標的となった岩石が多孔質な砂岩だったためではないかと考え、黒澤、多田賢弘に依頼して花崗岩および多孔質砂岩を使った衝突実験を行った。回収試料の薄片の偏光顕微鏡やSEMでのPlanar deformation features(PDFs)の比較観察から、典型的衝撃変成石英のPDFsと異なる特徴のいくつかは、標的が多孔質砂岩であったことに起因する可能性が示唆され、さらに観察を進めている。また、多田賢弘、鹿山らは、放射光XRDを使って推定衝突地点周辺の基盤をなす中生代砂岩中の石英の格子定数を測定し、その値が推定衝突地点に向かって増加する傾向を見いだし、現在その確認を行っている。
上総層群におけるマイクロテクタイト検出については、岡田が中心となり、銚子での掘削コア Choshi-1 について昨年度5cm間隔で採取した試料の粗粒シルトサイズ以上の粒度画分を抽出して検鏡作業を行うと共に、養老川ルートにおける国本層のMIS20付近の層準についてシルト岩部分のサンプリングを行い、先ずマイクロテクタイト層準を絞り込むための詳細な酸素同位体層序構築のため有孔虫の抽出作業を行った。
【研究代表者】