エントロピー誘起相互作用による自己組織化ソフトマテリアルの創製
【研究キーワード】
コロイド / ナノ粒子 / 高分子 / 自己組織化 / 分子動力学 / 結晶 / 相転移 / ソフトマテリアル / ゆらぎ / ゲル
【研究成果の概要】
フォトニック結晶の分野では、自発的に形成される様々な結晶構造を実現するためのフレームを開発することが中心的な課題の1つとなっている。特に簡単な方法として、コロイド結晶を用いる方法があるが、コロイド結晶のバリエーションは限られており、その構造は壊れやすい。そこで、本研究では強靭な結晶構造を形成する可能性を持つPGNPに着目する。具体的には、本研究では高分子グラフトナノ粒子(PGNP)の多形構造を予測し、フォトニック結晶としての可能性を開くための強力な理論的枠組みを提供することである。このテーマは、これまでにも多くの実験的・理論的研究が行われてきた。本年度は、PGNPの結晶多形について、主に粗視化分子動力学シミュレーションを用いて検証した。その結果、以下のような結果を得ることができた。(1)グラフトポリマーの鎖長やグラフト密度によって分子間相互作用が複雑に変化し、調整できることを明らかにした。特に、低体積分率では、PGNPは様々な超構造に自己組織化することが可能であった。(2)PGNPが高体積分率でバルク状態に相当する様々な結晶構造を示すことを明らかにし、フォトニック結晶として理想的な構造の一つであるダイヤモンド構造への到達の方向性を示した。(3)今回の結果は、粗視化分子動力学シミュレーションでPGNPsの結晶相転移を直接観察した初めての事例となった。今後のPGNPsの結晶多形研究にとって重要な方法論になると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)