第四紀堆積物のESR年代測定法の確立
【研究キーワード】
ESR年代測定 / 石英 / 堆積物 / 第四紀 / 常磁性格子欠陥 / 自然放射線 / ESR年代測定 / 電子スピン共鳴 / 年代測定
【研究成果の概要】
ガンマ線照射によって生成する信号には、熱的に不安定な成分が含まれる可能性があり、これを除去して安定な成分のみを用いて総被曝線量を求め、年代測定を行うことが適切である。日本のテフラ2試料とブリスベン川河川堆積物の石英について、観測されるAl中心、Ti-Li中心の熱安定性を、naturalと照射した試料について比較し、年代測定プロトコルの開発のための基礎実験を行った。加熱実験の結果と別の手法で推定されている年代と比較して検討したところ、日本のテフラについては、Al中心はそもそも熱的に不安定であり、これを用いた場合には年代を過小評価する可能性が高いことがわかった。一方、Ti-Li中心については、熱的に安定な成分と不安定な成分があり、照射によって一部に熱的に不安定な成分が生成することがわかった。照射後、測定前に加熱することでこの成分を除去するのが適切であると考えられるため、適切な加熱温度について検討した。加熱実験結果からは260℃15分の条件が適切であることがわかったが、実際に適用してみたところ、この加熱(preheating)の効果の総被曝線量の値に対する影響はかなり小さいことがわかった。しかし、原理的にはこの preheat を行って、安定な成分を用いて年代測定を行うのが適切であると考えられる。ブリスベン川現河床堆積物については、Al中心の方が、Ti-Li中心よりも熱安定性が高いという実験結果が得られた。試料によって信号の熱安定性が異なることが明確に確認でき、このことは試料ごとに熱安定性の確認が必要であることを示している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
横山 祐典 | 東京大学 | 大気海洋研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
高田 将志 | 奈良女子大学 | 人文科学系 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)