炭酸塩試料を用いた長期間かつ高解像度の古環境復元
【研究キーワード】
古環境復元 / 炭酸塩 / 地球化学 / 質量分析 / 年代測定 / 炭酸塩試料 / ウランートリウム年代測定 / NanoSIMS
【研究成果の概要】
本研究では,サンゴ骨格・鍾乳石・二枚貝など付加成長する炭酸塩試料について,高精度年代決定法と高解像度元素・同位体分析法を融合させることにより,過去の環境を長期間かつ高精度で復元することを目的とする.具体的には,炭酸塩試料のウラン-トリウム年代測定法の世界的権威である国立台湾大学のSHEN教授との共同研究を通じて,炭酸塩試料の年代を高精度で決定するとともに,二次イオン質量分析計(NanoSIMS)等を用いて高解像度の微量元素分析を行なうことによって,氷期・間氷期サイクルや地球温暖化に対してアジアモンスーン・エルニーニョ・太平洋十年規模振動がどのように対応してきたか,といった問題の解明を目指す.
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響で,海外渡航を伴う人的な国際交流が難しく,様々な制約の中でも実施可能な分析等について進めた.昨年度から引き続き,レーザー誘起ブレークダウン分光分析法LIBSと高感度窒素安定同位体比質量分析法を組み合わせた,局所窒素同位体比分析法に関する基礎実験を進めた.その結果,生物起源炭酸塩について数百マイクロメートルの領域から窒素同位体比を実用的な精度で分析できる可能性が示された.
また,長寿二枚貝ビノスガイの分析を古環境復元に応用するために,局所分析法を用いて微量元素変動メカニズムについて検討を進めた.殻のストロンチウム/カルシウム比とマグネシウム/カルシウム比については殻の微細構造に強く影響を受けることが明らかとなった.一方,バリウム/カルシウム比については環境変化の影響を記録している可能性が示された.さらに若手外国人研究者の養成を目的として,大気海洋研究所においてEscobar-Nakajima博士を雇用して研究活動を進めた.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
白井 厚太朗 | 東京大学 | 大気海洋研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
鹿児島 渉悟 | 富山大学 | 学術研究部理学系 | 特命助教 | (Kakenデータベース) |
高畑 直人 | 東京大学 | 大気海洋研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2023-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)