低温高圧下のX線回折による圧力誘起相転移の研究
【研究分野】固体物性
【研究キーワード】
低温 / 高圧 / X線回折 / 相転移 / アモルファス半導体 / 超伝導
【研究成果の概要】
1.低温高圧X線用クライオスタットの製作:ヘリウムガス駆動式の圧力可変のダイヤモンドアンビル型超高圧装置を組み込める液体ヘリウムクライオスタットを製作し, 温度10-300K, 圧力0-20GPaでのX線回折実験を行った.
2.低温高圧下のリンのX線回折実験:黒リンは圧力下で斜方晶から菱面体晶, そして, 単純立法晶に相転移する. 単純立法晶は超伝導を示すが, その転移温度は温度圧力平面上での加圧経路により異なることが報告されている. 低温下での加圧により起こる相転移は転移圧力が高くなり, また低圧相がかなり高い圧力まで残った2相あるいは3相共存状態が続くことがX線回折実験により明らかになった. 室温での斜方晶から菱面体晶への転移圧力は約4.5GPa, 菱面体晶から単純立法晶への転移圧力は約10GPaであるが, 10Kではこの転移開始圧力が約10GPaおよび約15.5GPaとかなり高くなる.
3.水素化アモルファスシリコンのX線回折実験:結晶シリコンは約12GPaでダイヤモンド型半導体相からβ-Sn型金属相へ相転移する. アモルファスシリコンでは結晶より低い圧力で金属化転移が起こる. 室温でのX線回折実験により水素化アモルファスシリコンの圧力誘起相転移が次のように起こることがわかった. まず, 7.5GPaでβ-Sn型に対応するピークが現われ, 10GPa以上では急激に増加するが, 圧力をとり去ると元のアモルファス状態に可逆的に戻る. 対向アンビルでの加圧により出現した正方晶は今回の実験では現われなかった. 20GPaでは結晶シリコンで見られる単純六方晶の結晶に対応するピークが観測された. 低温での加圧実験については現在準備中である.
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1987
【配分額】1,600千円 (直接経費: 1,600千円)