C4植物の誕生・進化とその要因:白亜紀中期の炭素循環攪乱と南極付近の環境
【研究キーワード】
白亜紀 / バイオマーカー / アルケノン / C4植物 / 古環境 / 温暖化 / OAE2 / 海洋無酸素事変 / 炭素同位体比 / ノルマルアルカン / IODP / 有機物 / 炭素循環
【研究成果の概要】
国際深海科学掘削計画(IODP)第369次航海での掘削試料(U1516)の白亜系セノマニアン期,アルビアン期,アプチアン期の試料を入手し,分析を行った.その結果,セノマニアン期とアルビアン期の試料からハプト藻類に由来するC40アルケノン類(炭素数40の直鎖型アルキルケトン)を抽出することができた.これらは2つないし3つの不飽和部位を持っていた.特に一部のセノマニアン期の試料には3不飽和物が多く含まれており,注目される.一方でアルビアン期の試料からは全く検出されなかった.このことは,アルケノンをつくるハプト藻類の南半球高緯度域への拡散時期に関連している可能性がある.また,本研究の当初の目的であったC4植物に由来するノルマルアルカンなどのバイオマーカーは,個別分子炭素同位体比分析(GC-IRMS)の結果,確認できなかった.以上のことから,研究の主眼をアルケノン生成を行うハプト藻類の出現と南半球における拡散に関する考察を行うことを念頭に,研究の軸足を移した.また7月に専門的知識を持つ博士研究員が退職してしまったことと,コロナウィルス感染症の影響で機器の調整を外部委託できない時期があったため,ノルマルアルカンやアルケノンの水素同位体比測定ができなかった.一方でC40アルケノン類のガスクロマトグラフ上での分離に関してはカラムの変更や温度プログラムの工夫により,明瞭に2不飽和物と3不飽和物を分離することに成功した.これによりより正確にC40アルケノンの不飽和度指数(UK'40)を算出することができるようになった.今後,これを古環境の解読に応用していくことを検討していく.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中村 英人 | 大阪市立大学 | 大学院理学研究科 | 特任講師 | (Kakenデータベース) |
黒田 潤一郎 | 東京大学 | 大気海洋研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
守屋 和佳 | 早稲田大学 | 教育・総合科学学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)