ラバウルカルデラにおける浅部マグマ供給システムの究明
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
ラバウル / 噴火 / マグマ溜り / 津波 / 火山ガス / 火山灰 / 噴火史 / 火山モニタリング / ラバウルカルデラ / マグマ供給系 / 火山性津波 / 火山岩石学 / 土壌ガス / 火山灰付着水溶性成分 / 火山活動 / カルデラ / 火山噴火予知 / 地球化学 / 噴火災害
【研究成果の概要】
パプアニューギニアのラバウル火山は約1400年前にカルデラ噴火を起こした若いカルデラである.カルデラの西端と東端にはそれぞれ,ブルカン,タブルブルの2火山が存在し噴火を繰り返している.ラバウル火山の噴火は,この2火山の同時噴火で特徴づけられる.同時噴火は1878年、1937年に発生し,1994年には両火山が約1時間の間隔で相次いで噴火を開始した.ブルカン火山の噴火は約2週間で終わったが,タブルブル火山の噴火は現在(2003年)まで断続的に続いている.我々は2火山を同時に噴火させたマグマ供給システムを解明するため,またタブルブル火山の現況を把握するため,2001年~2003年の3年間,科研費海外学術調査を企画して繰り返し現地調査を実施した.すべての現地調査は,ラバウル火山観測所と共同で行われた.
2001年の現地調査では,1994年の噴火および歴史時代の噴火イベントに伴う噴出物の基本的な層序を明らかにし,岩石サンプルを採取した.2002年と2003年には,火山近傍において火山ガスや温泉水を調査するとともに,火山活動をモニターするための土壌ガス濃度の繰り返し測定を実施した.土壌ガスの測定は,我々が現地に滞在している期間だけではなく,ラバウル火山観測所の職員によって定期的に実施する体制も整えた.また,タブルブル火山の噴火活動は活発であったため,できる限り頻繁に火山灰を採取し,水溶性付着成分から噴火活動の推移を探ることも試みた.さらに,2001年~2003年の調査期間中に,1994年の噴火で発生した小規模な津波による津波堆積物の分布とテフラ中における層序を調べ,噴火時系列の中における津波発生プロセスについて検討した.
【研究代表者】