ディーゼルエンジン排ガスからの窒素酸化物除去触媒の開発
【研究分野】触媒・化学プロセス
【研究キーワード】
NO還元 / ゼオライト触媒 / 鉄触媒 / 耐水蒸気性 / ZSM-5 / 触媒調製法 / 酸処理 / メタン / 窒素酸化物 / 鉄の添加効果 / イオン交換法 / 含浸 / 選択還元 / NO_x / Ir触媒 / メソポーラス / シリカライト / BEA / NOx / ゼオライト / SOx / 細孔径 / ディーゼル排ガス / 窒素酸化物除去 / 機能複合 / 水熱安定性 / ディーゼルエンジン / 耐硫黄化合物被毒 / パラジウム / イリジウム
【研究成果の概要】
Pd/ZSM-5触媒はCH_4によるNO還元反応(NO-CH_4-SCR)に対して酸素過剰、水蒸気存在下においても高い活性を示し、CH_4を主成分とする天然ガス希薄燃焼用触媒として期待されているが、水熱条件下における耐久性に課題を残す。その弱点を克服する可能性の一つとして、第二成分の添加があり、既往の研究においてPd/ZSM-5にCoなどの遷移金属を第二成分として添加することで耐久性が向上することが報告されている。本研究は第二成分としてFeを添加し、それによるNO還元活性や耐久性の変化について検討することを目的とした。
Pd/ZSM-5、PdFe/ZSM-5、Fe/ZSM-5を調製し、NO還元活性試験を行った。イオン交換法を用いてFeとPdを担持した。NO還元活性試験には常圧固定床流通式反応装置を用いた。
まず、Pd/ZSM-5とPdFe/ZSM-5のNO還元活性、CH_4酸化活性の経時変化を検討した。PdFe/ZSM-5は初期NO転化率55.2%を示し、Pd/ZSM-5での42.2%よりも優れていた。触媒の耐久性やCH_4酸化活性に大きな変化は見られなかった。また、NO還元活性とCH_4酸化活性の経時変化が一致しないことから、NO還元とCH_4酸化は異なった活性点で起こっていることが示唆された。次に、Fe/ZSM-5のNO還元活性、CH_4酸化活性の経時変化について検討した結果、NO還元活性、CH_4酸化活性ともにみられなかった。これらの結果からFeがNO-CH_4-SCRにおいて、Fe自体はNO-CH_4-SCR活性を有さないが、反応の一部において活性点となっている可能性、あるいは、Fe自体は何の効果ももたずFeイオン交換時のpHなどによってPdの担持状態が変化している可能性が考えられる。
そこでFeを添加せず、酸処理を行ったPd/ZSM-5のNO還元活性試験を行った。その結果、酸処理を行った触媒は行わなかったものと比較すると、初期NO還元活性は約40%と変わらず、耐久性が低下するという結果となった。また、pH1.8にて酸処理を行ったものはpH0.49、pH3.1で行ったものと比べ耐久性が低かった。以上の結果からPdFe/ZSM-5にみられるNO還元活性の向上は触媒調製時のpHによる影響ではなく、Feの添加効果のためであると考えられる。HC種がCH_4である時はNO還元能を示さなかったFe/ZSM-5だが、iso-C_4H_<10>を還元剤としたNO選択還元に対して活性を有することが報告されている。このことから、Fe/ZSM-5は活性化されたC種が存在すればNOを還元する能力があるのではないかと考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松方 正彦 | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
小倉 賢 | 日本学術振興会 | 特別研究員 |
野村 幹弘 | 早稲田大学 | 理工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2003
【配分額】13,000千円 (直接経費: 13,000千円)