ナノ領域の同位体分析を目指した質量分析法の開発
【研究分野】岩石・鉱物・鉱床学
【研究キーワード】
同位体顕微鏡 / 同位体組織学 / イオン検出器 / 二次イオン質量分析法 / 同位体 / 隕石 / 撮像素子 / 太陽系 / 局所分析 / 同位体分析 / 荷電粒子検出器 / 半導体センサー / 質量分析法 / 表面分析 / 質量分析 / 惑星科学
【研究成果の概要】
最近の急速な分析法の進歩により,微小な鉱物間および鉱物内の地球科学的・年代学的情報を引き出すことが可能になりつつある。それにより太陽系形成や惑星形成初期の物質科学的な進化過程が明らかになりつつある。特に,固体地球試料のミクロンサイズの局所表面分析から精密同位体情報を引き出す分析法の実用化により,鉱物の形成・進化過程についての詳細な環境情報並びに時間情報が同時に得られるようになり,従来の地球科学観はまさに一変されつつあるといっても過言ではない(圦本尚義 科学67,1997)。これらの局所・表面同位体分析に対して,二次イオン質量分析法(SIMS)は主導的役割を担っている。しかしながら,太陽系形成時を遡り,太陽系を構成する原子が星間雲であった時代を読み取るためには,隕石等の地球外物質中のサブミクロンサイズの結晶から同位体情報を得る必要がある。また,地球深部を探る超高圧実験も下部マントル以深の条件では合成された結晶の大きさはミクロンサイズを下回る。この様に地球惑星科学のフロンティア領域では素部ミクロンからナノ領域における新しい分析法の確立が要請されている。
本研究は,以上の学術的要請に応えるために,我々が独自に開発してきたミクロン領域のSIMS法を発展させ,ナノ領域まで分析可能な質量分析装置(同位体ナノスコープ)の開発と実用化を目的とした。この実現のために,我々の開発した二次元半導体荷電粒子検出素子の能力を大幅に向上させ,Stacked-CMOS active sensor (SCAPS)を完成させた。今回完成した同位体ナノスコープは高分解能SIMSとSCAPSが組み合わしたシステムである。本同位体ナノスコープにより隕石中の酸素同位体分布を測定しその性能を検証した。本研究で達成した性能は100ミクロンの試料領域上で空間分解能1ミクロン,同位体精度0.1%の分解能を持つ同位体比の定量イメージを世界で初めて得ることができた
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松本 一哉 | オリンパス光学工業(株) | 複合精密技術部 | グループリーダー(研究職/">(Kakenデータベース) |
高柳 功 | フォトビットコーポレーション | 主任研究員 |
平田 岳史 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】32,600千円 (直接経費: 32,600千円)