テルビウムをドープした培養実験による珪藻が利用するケイ素の形態についての研究
【研究分野】地球化学
【研究キーワード】
珪藻 / ケイ素の化学形態 / Skeletonema / 培養実験 / 炭素循環 / テルビウム / ケイ素 / 海洋化学 / テルビラム
【研究成果の概要】
珪藻は海洋において第一次生産の約70%を担い、さらに深層あるいは中層に珪酸質の殻に閉じ込め効果的に有機炭素を移送するため、大気の二酸化炭素にとって生物ポンプとして機能するものとして注目されている。珪藻のブルームの原因について明解な説明がなされておらず、珪藻が利用するケイ素の形態を本研究では培養実験で調査した。本年度実施計画の下記の5項目について以下の成果が得られている。
1)培養および分析 石英粒子系でも珪藻の繁殖が起き、テルビウムをドープした石英でも同様な繁殖が確認された。フィルター上に回収された、石英粒子および珪藻について、少量のアルカリ溶液中で加熱することで、ケイ素の再現性の良い分析が可能であった。
2)培養装置 東京農工大において波の発生装置を作成し、自然の環境に近い状態で培養を行う装置を作成した。
3)ケイ素の分析ブランク値の低減 ケイ素の低濃度下での対照実験が必要であるが、使用器具の選択、洗浄によって、低濃度のブランク値が得られた。
4)珪藻の繁殖時期、繁殖条件 Skeletonemaの繁殖は波の存在下で抑えられることが分かった。静置下では二週間から一か月の範囲で繁殖が確認された。
5)テルビウムの存在 珪藻中に分析可能なテルビウムの量が含まれることが分かった。珪藻はケイ酸塩を粒子の形態で吸収していることが示唆されたが、やや再現性に難があり、追加実験が必要であることも分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小川 浩史 (小川 浩) | 東京大学 | 海洋研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)