中緯度オゾン層破壊の化学過程の研究
【研究分野】超高層物理学
【研究キーワード】
成層圏 / オゾン / 塩酸 / 弗化水素 / 硝酸 / 二酸化窒素 / 赤外分光器 / 可視分光器 / 塩素化合物 / 窒素化合物 / 北海道 / エアロゾル / ライダー
【研究成果の概要】
北海道の陸別町に我々の開発した高精度のフーリエ変換型の赤外分光器システム、太陽追尾装置を1995年5月に移動し、太陽追尾装置の光軸の再調整を行った結果、十分な波数分解能とS/N比を持つ赤外スペクトルが得られた。7月より本格的な赤外分光観測が実施され、1995年9月から1996年3月まで毎月観測を行った。特に12月から3月は殆ど途切れなく観測が行われた。
この観測の結果、塩酸(HCl)、弗化水素(HF)、硝酸(HNO_3)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO_2)、オゾン(O_3)の柱密度の数多くのデータが得られた。HCl, HF, HNO_3は夏に極小を示し冬に向けて増加するという季節変動をしている。またこれらの成分の短期的な変動は極めて良く同時に起きていることが分かった。特にHNO_3は秋から冬にかけて急激な増加が見られた。これはおそらく、日射が弱くなる時期にHNO_3の光解離速度が遅くなる一方NO_Xの不均一反応などによる酸化が進むことによると考えられる。
一方、可視分光器による連続したNO_<2,>オゾンの全量を連続的に観測した。また名古屋大学太陽地球環境研究所付属母子里観測所に設置してある可視分光器でも継続してNO_2,オゾンの全量を連続的に観測した。エアロゾルの観測は稚内に設置されているライダーにより継続的に実施した。
今後中緯度オゾン化学過程に関する詳細な研究を、これらの得られたデータセットから行うことが可能となった。
【研究代表者】