大規模な最適化問題を解く高速アルゴリズムの開発
【研究分野】社会システム工学
【研究キーワード】
最適化 / アルゴリズム / 内点法 / 線形計画問題 / 最適化問題
【研究成果の概要】
本研究は、大規模な数理計画問題を効率よく解くアルゴリズムを開発し、その理論的な性質と実用性を明らかにすることを目的としている。平成12年度には、そのための基礎的な研究を行った。大規模な数理計画問題では、問題に含まれる変数に自由変数、非負変数、上下限制約付きの変数の3種類がある。これらの変数を同時に、そのまま処理することが、問題を効率よく解く上で重要である。そこで、このような問題を直接解く内点法によるアルゴリズムについて研究を行った。平成13年度には、係数行列に特殊な構造を持つ大規模な最適化問題に対するアルゴリズムの研究を行った。特に、多期間の確率計画問題から派生する線形計画問題を効率よく解くアルゴリズムについて研究した。この問題は、期間の数あるいはシナリオの数が増えると、変数の数が非常に大きくなるが、係数行列の右上部分がゼロ行列という特徴を持つ。この特徴を利用し、大規模な多期間の確率計画問題を効率的に解くアルゴリズムを開発することができた。平成14年度は、大規模な線形計画問題あるいは非線形計画問題を解く新しい内点法について研究した。この方法は、問題に現れる一部の変数について対数変換を施した後に、ニュートン法を適用する点において従来のアルゴリズムと大きく異なる。変数に対数変換を施すことにより、問題の実行可能領域に横たわる複雑なセンターパスが滑らかになり、内点法により効率よくパスを追跡することが可能となることが期待される。実際、数値実験により、現実の線形計画問題において、提案したアルゴリズムにより対数変換を使わない場合に比べ反復回数を減少させることができることを確認した。
【研究代表者】