プレート沈み込みによって地球内部へ取り込まれた水は地震とともに地上へ帰るのか?
【研究キーワード】
スロー地震 / 水 / 重力 / プレート沈み込み帯 / 地殻流体
【研究成果の概要】
本研究は、スロー地震や巨大地震に伴う重力異常の観測を主な目的とし、特に、これまでの観測手法では困難だった、より短い継続時間をもつスロー地震に伴う重力異常の検出を目指している。2021年度は、重力観測の時間分解能を高めるのに必要となる、連続観測可能な相対重力計を計画に従って取得した。また、スロー地震発生域における重力の長期的なトレンドを明らかにするため、従来の重力計を用いた観測手法を南海トラフ(東海・四国・九州)のスロー地震発生域で実施し、重力データを取得した。データは現在解析中である。
観測に加え、得られた重力データを解釈するための理論研究も開始した。巨大地震に伴う重力異常に関して、球体地球モデルに基づいた地震時の重力異常モデルの構築を開始した。2021年度は、既存の半無限モデルと球モデルとのちがいを評価するため、球モデルのグリーン関数を代表的な地球モデルであるPREMの基づいて計算した。このグリーン関数を用いて3.11地震の地震時地殻変動データに対して断層すべりをインヴァージョンで推定した結果、球と半無限とですべりの分布や大きさに有意(観測可能)な差が生じることを確認した。また、PREMでは考慮されていない、密度や弾性定数の水平不均質を考慮した球モデルの開発を進め、2次元的な水平不均質の場合での計算手法を開発した。
スロー地震発生域の水の振る舞いを物理的にモデリングした。スロー地震の1つである微動に適用したところ、水はプレート境界に直交する方向に移動しにくいことが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2025-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)