腕足動物の起源に関する分子系統学的研究
【研究分野】層位・古生物学
【研究キーワード】
分子系統学 / 腕足動物 / ミトコンドリアDNA / 分子古生物学 / 系統発生
【研究成果の概要】
多細胞動物における系統学的な位置が謎とされる腕足動物の起源を明らかにするため、また腕足動物が単系統群をなすかどうかを明らかにするため、以下の分子系統学的研究を試みた。
1.無関節綱に属するLingula anatinaのミトコンドリアDNAの遺伝子配列の決定
全長約27000塩基対のLingula anatinaのミトコンドリアゲノムのうち約20000塩基対におよぶ領域をLA-PCR法により増幅することに成功した。これにより、ゲノムのほぼ全域の制限酵素地図を作成し、すでにクローン化されている断片(合計約20000塩基対)のゲノム上の位置を決定した。また、PCR法によって増幅したCO1遺伝子および125rRNA遺伝子を用いて、これらの遺伝子のゲノム上の位置およびクローン化DNA上の位置をサザンハイブリダイゼーションにより確かめた。約6000塩基対のクローン化されたDNA断片の塩基配列の決定も行ない、CO3遺伝子やいくつかのtRNA遺伝子の位置を確認した。現在さらにクローニングおよびシークエンシングを続けており、全遺伝子配列の解明、そして他の生物との比較による腕足動物の起源の解明を目指している。
2.無関節綱および有関節綱のそれぞれに属する種のCO1遺伝子の塩基配列の決定。
無関節綱Lingula anatina、Lingula adamsiおよび有関節綱Laquens rubellusの各種について、PCR法によりCO1遺伝子の約1300塩基対の領域の増幅を行なった。現在これらの増幅されたDNA断片についてもクローニングおよびシークエンシングを行なっている。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】900千円 (直接経費: 900千円)