測地データと物理モデルを融合した断層摩擦特性の推定手法の構築
【研究キーワード】
パラメータ推定 / 事後確率分布 / 余効変動 / 余効すべり / 粘弾性緩和 / インバージョン / データ同化 / 物理モデル / 測地データ / 断層摩擦特性 / GNSS / 断層すべり
【研究成果の概要】
本研究課題では、余効変動の物理モデルのパラメータの事後確率分布を測地データに基づいて推定する手法を構築してきた。2020年度までに構築した手法は、パラメータ空間が比較的低次元の場合には有効であることが示された。しかし、パラメータ空間が高次元の場合、多数回のフォワード計算を行うことが必要となるため、計算コストが高くなるという問題点がある。多くの未知パラメータを含むより現実的なモデルのパラメータ推定を可能にするためには、この問題を解決する必要がある。そこで、2021年度は、より少ない回数のフォワード計算に基づき事後確率分布を推定することができる手法の構築に向け、ensemble smoother (ES)とiterative ensemble smoother (IES)による事後確率分布推定の性能を検討した。モデルが線形で事後確率分布がガウス分布の場合、これらの手法から同一の結果が得られ、それらは真の事後確率分布に一致した。一方、モデルが非線形の場合、ESから得られる結果は真の事後確率分布に一致せず、非線形性が強くなるほど真の分布からの乖離が大きくなることが分かった。IESを用いることによりESよりも良い推定結果が得られるが、モデルの非線形性が強くなるほど真の分布に近い推定結果を得るためには多数回の反復が必要であることが分かった。以上の結果から、非線形性の強いモデルに対する事後確率分布推定にはIESがより適していると考えられるが、IESでは反復毎にフォワード計算が必要となるため、現実的な計算コストで推定を行うためには、反復回数を抑えるための手法の改良が必要である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)