XBIEM地震サイクルシミュレーションで探る構造不均質と地震発生の因果関係
【研究キーワード】
境界積分方程式法 / 地震サイクルシミュレーション / 構造不均質 / 地震 / 断層 / 破壊 / 不均質構造 / XBIEM / 震源物理学
【研究成果の概要】
本研究の目的は、拡張積分方程式法(XBIEM)を用いて、地震サイクルシミュレーションを不均質媒質中へ拡張することにある。この現実的な不均質構造中での自発的な核形成、動的破壊伝播開始と進展、地震後の強度回復、その後の地殻応力載荷という地震発生サイクルシミュレーションを行う。現実的な不均質構造中でのサイクルシミュレーションを行う技術開発を進めており、今年度は、付加帯構造という沈み込み帯に特徴的な構造不均質が地震発生の応力載荷過程に持つ効果を調べることを目的として、構造の2次元断面を単純化した「三角付加帯モデル」においてモードIIの面内破壊問題を考え、弾性変形を計算するための数値計算コードを拡張型境界積分方程式法 (XBIEM)を用いて開発した。
固着域においてバックスリップを与え、上盤の付加帯と下盤のプレートの剛性率コントラストを系統的に変化させて、上盤・ 下盤におけるバックスリップの分配、海底地殻変動の大きさ、およびプレート境界応力載荷量の定量 的変化を数値解析で調べた。同一バックスリップ量に対して、上盤の剛性率が小さくなるにつれ、上盤変位への分配量が増し、海底地殻変動は大きくなる方向に変化し、既往研究と調和的な変位場応答を得た。これに対して応力場は、空間分布はそのままに剪断応力の絶対値が小さくなる応答を示した。これは、地震サイクルにおいて、低剛性率の付加帯構造があると応力載荷レートが下がることを意味する。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)