片手で持てる実用小型絶対重力計の開発研究
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
レーザー / 干渉計 / 絶対重力 / 地面振動 / 重力計
【研究成果の概要】
本研究計画では絶対重力計の小型化の研究を発展させ、野外観測可能な実用型の小型絶対重力計、具体的にはいわゆる投げ上げ式絶対重力計を開発する。今年度はこれまで不具合のあった投げ上げ機構の改良、およびアルミ製真空容器の製作を行い、小型・軽量の絶対重力計として動作するシステムの完成をめざした。
鏡の投上げ時の回転が許容量より1桁程度大きいことがこれまでの問題であった。これは投げ上げる瞬間に投げ上げ台から投げ上げ鏡の脚に力のアンバランスが生じ鏡に回転が生じてしまうものである。そこで、投げ上げ装置のステージに振動ダンパーを組み込み、さらにピエゾ素子(任意波形発生装置で駆動)を投上台に組み込み、投げ上げ直前に下向きに駆動することで鏡にアンバランスな力が加わる前に鏡をリリースしてしまう方法を試した。その結果、鏡の回転を抑えることに成功した。
軽量化するためのアルミ製超高真空容器については(株)日造精密研磨と打ち合わせ製作した。従来のものとの違いは、投げ上げ駆動のモーターを真空外に配置し、ベローズを介して真空中のステージを駆動するものである。3mmの投げ上げができるような仕様とし、投げ上げ時のストッパーの振動が容器内の参照振り子に加わらないように、ストッパー部分と容器を分離した構造を採用した。レーザー光源に関しては、ヨウ素安定化レーザーを購入し、絶対重力計の干渉計光源である2-モードレーザーとのビートを測定中に常にモニターし、2-モードレーザーのドリフトをつねに記録し、絶対重力値の測定データを補正する方法が優れていることがわかった。以上の研究の結果を踏まえて、片手で持てるところまではいかなかったものの、従来よりも軽量な総重量50kg程度の絶対重力計を開発することができた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】26,260千円 (直接経費: 20,200千円、間接経費: 6,060千円)