アンサンブルデータ同化を利用した大気海洋結合モードの抽出とその短期予測への応用
【研究分野】気象・海洋物理・陸水学
【研究キーワード】
海洋物理・陸水学 / 気象学 / 大気海洋相互作用 / データ同化 / 季節変動予測 / アンサンブル
【研究成果の概要】
短期変動予測への応用に資するため、全球大気海洋結合モデル CFES へ海面水温の観測データのみを簡便な手法(ナッジ法)を用いて同化する試験的な季節予測システムについて、使用するスーパーコンピュータの更新に合わせて移植・修正作業を行った。更新に伴いいくつかの重要な機能が廃止されたこともあり、大気側・海洋側ともにかなり大掛かりな修正が必要となったため、想定よりも作業に時間を要したが、最終的には前年度までと同様の予測実験が行えるシステムを構築することができた。また、この更新したシステムを用いて、毎月1日から6ヶ月間・12メンバーでの季節予測実験を継続した。
大気大循環モデル AFES において、黒海やカスピ海など、全球を対象とした数値モデルでは三次元的に計算することが困難な内海に関して、非一様な水深分布を入力可能なように改良した実験結果について解析を進めた。内海に高温偏差が存在する場合、風上側での水平風の発散偏差・風下側での収束偏差に対応した鉛直風偏差が上空 200~300 hPa にまで達すること、その結果、前年度までに示した局所的な降水分布の改善のみならず、特に夏季において、日本を含む東アジア域上空でのジオポテンシャル高度や東西風にも気候学的に有意な差が生じることを明らかにした。データ同化システムにおいて、予報モデルの改善は同化結果の改善に直接的に資するものであり、これらの成果をまとめた論文を執筆中である。
【研究代表者】
小守 信正 国立研究開発法人海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ) 臨時研究補助員
(Kakenデータベース)【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)