アルマの高精度観測による,タイタン・海王星の特異な大気化学・物理過程の網羅的解明
【研究キーワード】
電波天文学 / 大気化学 / 星間化学 / リモートセンシング / 惑星大気化学 / 惑星大気物理 / テラヘルツ / 輻射輸送 / ビッグデータ / 大気物理学 / 輻射輸送計算
【研究成果の概要】
本研究では,地上最大のテラヘルツ電波干渉計である「アルマ」を用い,特に海王星・タイタンを対象とした大気リモートセンシングを行うことで,その大気環境の解明を目指している.
本研究の特色として,惑星大気の観測研究をコアとして,その周辺領域(原始惑星系円盤観測,星間化学,地球大気物理,輻射輸送計算)の研究者によるチームを構成,学際的な取り組みを展開していることが挙げられる.初年度は,チーム内での連携により,複数の研究グループを形成し,今後の取組の基盤となる成果が創出された.
初年度の主たる成果として,アルマを用いたタイタン大気中のシアノアセチレン(HC3N)分子中の3種の13C同位体の存在量比の世界初の導出(査読付き雑誌論文として掲載)をあげることができる.星間空間において,同分子の3つの炭素原子のうち,その両端にある1ないし2の原子に13Cが濃集することが知られている.本研究では,タイタン大気中においては星間空間ほどの濃集が見られないことを示し,星間化学との気相化学過程の比較を行った.また,タイタン大気における微量分子の3次元分布の自動導出をオープンソースソフトウェアのみで行うソフトウェアの開発・検証を行い,結果を査読付きプロシーディングスとして発表した.また,海王星大気物理についての学会発表及び論文投稿,火星大気のアルマ実データを用いた輻射輸送コードの開発・検証と学会発表にも取り組んだ.
【研究代表者】