不均質生体現象を表わす偏微分方程式の研究
【研究分野】解析学基礎
【研究キーワード】
腫瘍浸潤モデル / 非局所項 / 生体モデル / 偏微分方程式 / コンピュータシミュレーション / 解の存在と挙動 / 走化性方程式 / 非線形発展方程式 / 数理モデル / 腫瘍浸潤現象 / シミュレーション / ケラージーゲル系 / 一般化された微分作用素 / 解の挙動 / Nカドヘリン / 解析学 / 数理生物 / 腫瘍 / 自己組織化
【研究成果の概要】
M.Chaplainらによる非局所腫瘍浸潤モデルにおいて抽象的に与えられた非局所項について適切な数学的枠組みを設定しその特徴づけと、滑らかな時間大域解の存在及び解の挙動を示した。非局所項における定義域の不整合がChaplainら自身によって修正され、それを用いて定義域の拡張を行い特異積分作用素等に類似した一般化された微分作用素として捉え、モデルのエネルギー評価式を導き、上記の結果を得ることで、モデルとして及び数学的な妥当性を保証することに成功した。
モデルの妥当性の根拠として、彼らは非局所項のテイラー展開を用いたが、彼らの数学解析ではこれに必要な解の滑らかさは得られず、ここが困難点となっていた。
【研究の社会的意義】
がんや腫瘍の特定と治療は早急に克服すべき人類最大の課題の一つである。そのため腫瘍の発現や発達のメカニズムの解明は急務であろう。しかしこれらの多くは数学的に新しい問題を内在しているが、その数理モデルの導出原理や方程式の理論解析が十分とはいえない。本課題研究では生命科学で重要な研究対象である「腫瘍」の数理モデルの数学解析と医学への応用について研究する。そのため十分な説得力をもつ非局所腫瘍浸潤モデルを取り上げ、適切な数学的枠組みを与え、滑らかな時間大域解の存在とその漸近挙動を示した。これはモデルとシミュレーションの妥当性を保証し、測定不可能な腫瘍侵潤部分、進行速度の特定など医学への貢献が期待される。
【研究代表者】