複素領域の擬微分方程式
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
代数解析 / 擬微分方程式 / 畳込み方程式 / 無限階微分方程式 / 偏微分方程式 / 微分差合方程式 / 超局所解析 / 解析接続 / 合成積方程式 / 微分・差分方程式 / 非特性コ-シ-問題 / 層の超局所理論
【研究成果の概要】
本科学研究費による研究では、交付申請書に書いた2つのテーマ:[1]正則函数に対する擬微分方程式系の非特性コーシー問題の、導来圏における定式化と解、[2]複素領域における無限階(擬)微分方程式系に対する「基本原理」、のうち[1]について、柏原-Schapiraによる擬微分作用素の正則函数への作用を用い、超局所方向pにおけるCauchy-Kowalevskayaの定理を圏D^b(X;p)における準同型として定式化し、それが同型射であることを証明することができた。これについては、本科学研究費により当該分野の国際的権威であるパリ第6大学のP.Schapira教授を報告者の大学に招聘し、研究討論を行うとともに、代表者および分担者の研究方向に対する多くの示唆を得たことの寄与するところが大きい。さらに、[2]については、複素領域における畳込み方程式の正則函数解の接続についての研究を行い、作用素の特性集合を微分方程式の場合の自然な拡張となるように定義し、それで決まる方向への解の接続性を証明した。また無限階の微分を許す微分・差分方程式への応用を行い、方程式の特性集合を具体的に与えた。更に、任意に与えた方向の集合を特性集合に持つような、畳込み方程式の具体例を構成した。
本研究では更に、非自励的関数偏微分方程式の安定性理論・概周期解の存在、第2超局所双曲型擬微分作用素に関する研究、大きなパラメータを含む3階線型常微分方程式のストークス幾何の決定に関する研究、たGrothendieck residueの値や双対性を計算するアルゴリズムの研究等に、様々な成果を得ることができた。
【研究代表者】