生物活性を持つ高分子の高次構造の高分解能NMRによる研究
【研究分野】高分子物性・高分子材料
【研究キーワード】
高分解能NMR / 高分子の高次構造 / 蛋白質 / ポリペプチド / 酵素 / シクロデキストリン / 糖蛋白質 / 人工酵素 / ^1HーNMR / ^<13>CーNMR / ^2HーNMR / イオノホア / コンホメーション / 水素結合 / 高次構造 / 高分子 / ^1HーNMMR / ペプチド / 遺伝子
【研究成果の概要】
この研究は、高分解能NMR法を主手段として生物活性を持つ高分子の種々の環境のもとでの高次構造を決定し、機能との関係を明らかにすることを目的として昭和62年度から平成元年度までの3年間にわたり実施した。主たる研究対象として(1)糖蛋白質、(2)酵素と人工酵素、(3)蛋白質モデル化合物を選び、初年度には溶液用の、2年目には固体用の高分解能NMR装置を導入し、溶液状態および固体状態でのそれぞれの高次構造を解析し、機能を解明した。研究成果の概要は以下の通り(カッコ内は分担研究者名)。課題(1)では極地の海に住む魚の血液凍結を防止する活性を持つ糖蛋白質のモデルとして、ガラクトサミン基結合スレオニン残基を含む数種のオリゴ糖ペプチドを合成し、高次構造、糖-ペプチド間相互作用などを調べ、不凍化活性発現の機構を推定した(中條,井上)。課題(2)では化学修飾基としてヒスタミン基を持つシクロデキストリン(CD)がキモトリプシン類似の触媒活性を持つことを明らかにし(戸田)、また単糖または二糖を枝として持つ分岐CDの基質認識機能における枝の役割を明らかにした(山本)。さらに結合蛋白質プロテインAとメタピロカテ-ゼを融合した蛋白質を遺伝子工学的に合成し、発現蛋白質が両蛋白質の機能を併せ持つことを認めた(相沢)。課題(3)ではポリ-γ-ベンジル-L-グルタメ-トについて高次構造の安定化に対する側鎖間相互作用の役割を明らかにし(安部)、ポリ-L-グルタミン酸塩の溶液中の構造に対する対イオンの効果を検討した(小見山)。また天然イオノホアのモデルとしてのカルボン酸型ポリエ-テルのアルカリ金属錯体の溶液中の構造をH-NMR化学シフトから検討した(中浜)。さらに固体状態の種々のペプチドおよび蛋白質トロポミオシンの高次構造を固体高分解能NMRから得られる化学シフトに基づいて検討した(安藤)。
【研究代表者】