Discovery Sagaサイレントキーワード俯瞰

超伝導 / 薄膜 / ルテニウム酸化物 / 超伝導体

本研究では、ルチル型酸化物RuO2のエピタキシャル薄膜において発見された歪み誘起超伝導の研究を深め、巨大エピタキシャル歪みが誘起する電子格子状態の変化の解明と新奇超伝導の学理の構築を目指している。本年度は、成膜条件を細かく調節することで、歪み量及び超伝導転移温度が成膜ごとに大きくばらつく原因を解決し、巨大エピタキシャル歪みの制御手法を確立することに成功した。具体的には、オゾンの実効的な供給量及び基板表面の状態に強く依存して歪み量が変化することを明らかにした。これにより、同じ基板方位（TiO2(110)面）及び膜厚（約30nm）で超伝導を示すRuO2薄膜と超伝導を示さないRuO2薄膜を作りわけられるようになり、X線吸収分光や共鳴非弾性X線散乱によって電子格子状態の変化を比較することが可能になった。

SQUID / 超伝導 / FIB / 磁束量子 / メゾスコピック / 局所磁場計測 / カイラル超伝導 / ルテニウム酸化物 / カイラル超伝導体 / 量子磁束 / 磁気計測 / TDGL方程式 / カイラルP波超伝導 / カイラルエッジ電流 / 集束イオンビーム加工 / ナノSQUID / 弱接合 / 自発磁化 / 収束イオンビーム / メゾスコピック超伝導

本研究では超伝導の磁束量子などの微小磁区構造検出可能なマイクロ～ナノSQUID による局所磁場観測システムの開発と、開発した局所磁場観測システムを用いたSr2RuO4のカイラルエッジ電流の検出等によるカイラルP波スピン三重項超伝導体の実験的な証明の二点を主な目的とした。
本研究ではアルミ、ニオブ、集束イオンビームアシスト蒸着法によるタングステン超伝導薄膜を用いたSQUIDによる局所磁場観測システムを開発した。開発した局所磁場観測法によりマイクロメーターサイズのSr2RuO4試料、穴あき試料、Ru-Sr2RuO4共晶試料の磁気異常について調べたが、カイラルエッジ電流は観測されなかった。

【研究分担者】
柏谷裕美	産業技術総合研究所	計測フロンティア研究部門	主任研究員	(Kakenデータベース)
柏谷聡	産業秘術総合研究所	電子光技術研究部門	首席研究員	(Kakenデータベース)

【研究連携者】
永合祐輔	東京理科大学	理学部	助教	(Kakenデータベース)

【研究協力者】
佐久間大輔
田野佑典
篠崎智也