新規フェロイック秩序物性の開拓
【研究キーワード】
フェロアキシャル秩序 / フェロイック秩序物性 / 電気磁気(光学)効果 / ドメイン / 非相反光学応答 / 電気旋光効果 / 電気磁気効果 / マルチフェロイック
【研究成果の概要】
【フェロアキシャル物質・物性の開拓】代表的なフェロアキシャル物質NiTiO3とRbFe(MoO4)2を対象として、走査X線回折及び電気旋光効果を用いて、フェロアキシャルドメインの空間分布に対するフェロアキシャル相転移の影響を調べた。その結果、NiTiO3では、形成されるドメインの大きさが相転移を経る際の冷却速度に大きく依存することが明らかとなった。RbFe(MoO4)2では、強軸転移温度全体の広い温度範囲で電気旋光効果測定を行い、フェロアキシャルドメインの形成を確認し、サンプルが転移を経るたびにフェロアキシャルドメインが再構築されることが明らかとなった。このようにフェロアキシャルドメインの視覚化に成功し、フェロアキシャル遷移との関係を明らかにした。
【非相反光学応答を利用した反強磁性ドメイン観測】反強磁性秩序に起因して時間・空間反転対称性が破れる物質Bi2CuO4を対象として、近赤外・可視光領域の光学吸収スペクトルの詳細を調べた。その結果、スピンあるいは光の進行方向の反転により吸収係数が40%以上も変化するという巨大な方向二色性を観測した。さらに異なる3方向から見たときに光の透過率が大きく変化することを明らかにした。この現象は、光の進む向きとスピン構造の相対的な配置によって吸収係数が3つの異なる値をとることに起因する。さらに、電場と磁場の印加により光の透過具合を3段階に切り替えられることを、偏光顕微鏡を用いた測定により可視化することに成功した。
これらの研究成果は,論文での公表に加えて,研究代表者による国際会議での招待講演や研究協力者などによる国内外の学会・研究会などで発表した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2025-03-31
【配分額】41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)