超高真空走査電顕による半導体上の金属エピタクシー過程の原子線観察と局所解析
【研究分野】固体物性
【研究キーワード】
走査電子顕微鏡 / エピタクシー / 表面構造 / 半導体表面 / 反射高速電子回折(RHEED) / 走査電子顕徴鏡
【研究成果の概要】
平成4年度には「結晶試料の表面状態検出用の小型真空槽」を作製し、これを超高真空走査電子顕微鏡(UHV-SEM)と連結した。これにより試料表面の構造は反射高速電子回折(RHEED)により、表面の元素分析は全反射角X線分光(TRAXS)により前もって詳しく調べ、その試料をUHV-SEM本体に移送し、そのまま真空を破ることなく、SEM観察ができる装置として完成させた。
次に、Si(111)上にAu、Ag、Bi、Ga、Inなどを蒸着し、これらのエピタクシー過程における表面構造や表面組成を詳しく調べ、同時にそれらの試料表面をSEMにより観察した。Si(111)-7×7表面上にBiを1ML(原子層)吸着させた表面には、3種類の明るさのコントラストB(β-√<3>×√<3>)、M(α-√<3>×√<3>)、D(7×7)が観察された。コントラストBやMは下地表面のステップや7×7構造の逆位相境界に沿って現れることも明瞭に観察された。
平成5年度は、SEM内で、TRAXSによるナノ領域の元素分析も行った。研究を行った試料はIn/Si(111)-7×7、In/Si(111)-4×1-In、In/Si(111)-√<3>×√<3>-Ga、Ga/Si(111)-7×7、Ga/Si(111)-√<3>×√<3>-Ag、Ag/Si(111)-√<3>×√<3>-Ga、などである。
特に、Si(111)-√<3>×√<3>-Ga上に、3原子層のInを蒸着した場合に形成される(In_2Ga)In構造は興味深いSEM像を示した。この構造は1つのテラス内では全面的に広がった非常に平胆な構造であることが明らかにされた。さらに、Inを多く蒸着すると、1つのテラス内には殆どステップを作ること無くInが1原子層づつ増加し、(In_2Ga)In_n(n=1,2,3...)と表現される様な興味深い構造になることを観察した。以上の様にUHV-SEMにより多くの興味ある有益な成果が得られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
霜越 文夫 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
長谷川 修司 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1992 - 1993
【配分額】6,700千円 (直接経費: 6,700千円)