強い電子-格子相互作用に基づく有機分子性強誘電体の合成と物性
【研究分野】固体物性
【研究キーワード】
有機分子性(反)強誘電体 / 電子-格子相互作用 / 電荷移動錯体 / プロトン-π電子結合系 / 荷電ソリトン / ドメイン壁 / 低次元誘電性 / 光誘起効果 / ドメイン注入 / 光伝導 / 有機強誘電体 / ソリトン / 1次元強誘電性
【研究成果の概要】
本研究の目的は、種々の光電的・磁気的物性を有する、電子-格子相互作用を用いた新しい型の有機分子性強誘電体・反強誘電体を合成し、様々な手法を用いてその基礎的物性を明らかにする点にあった。本研究では交互積層型電荷移動(CT)錯体およびプロトン-π電子結合系について集中的研究を行い、多くのCT錯体と数種のプロトン-π電子結合系が強い電子-格子相互作用に基づく低次元(反)強誘電性を示すことを見い出した。まずCT錯体に関しては、誘電・伝導・赤外振動スペクトル・帯磁率測定から、誘電応答発現の原因が予期した通り低次元系における協力現象(荷電ソリトンやドメイン壁の運動)であることを確認した。又、光誘起効果の測定も行ない、光励起によって低次元(反)強誘電体へドメイン注入が行なわれる結果、とりわけその相転移温度近傍でCT錯体が大きな光誘起屈折率変化や光伝導を示すことも明かにした。次にプロトン-π電子結合系についても、誘電・伝導・赤外・ラマンスペクトル及びそれらの温度依存性測定の結果、四角酸・フェニルマロンジアルデヒド等幾つかのプロトン-π電子結合系物質が、CT錯体と同様に低次元誘電性及び相転移を示すことが明かとなった。これに加えて、高圧下でのラマン散乱・赤外吸収スペクトル測定から、プロトン-π電子結合系物質では相転移が圧力に敏感に反応し、π電子系の変化に起因する構成分子の対称性の変化が起きていることも確認された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
腰原 伸也 | 東京大学 | 理学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1988 - 1989
【配分額】6,400千円 (直接経費: 6,400千円)