光子光子衝突反応中のチャーム粒子生成についての実験,及び理論的側面からの研究
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
光子光子衝突反応 / チャーム / 実験 / 理論 / QCD / 高次補正 / 光子分解反応
【研究成果の概要】
まず実験面では、
1.チャーム粒子の生成率をチャーム中間子を再構成することにより測定した。特に報告にあるsoft-pion法をこの反応過程に応用したのは我々が初めてであった。この結果チャーム生成率を約20%の精度で測定することが出来た。また、副産物として超対象性粒子の可能性についても吟味した。
2.中性K中間子の生成率を精度良く測定することによりチャーム粒子の生成率の精度を10%程度にまで高めた。この測定において我々はremnant-jet-taggingと呼ばれる新しい実験手法を開発し、光分解反応のみをその他の雑音から選び出すことが出来、反応別の生成率を測定することが出来る様になった。
3.電子の生成率を上記の新しい手法を用いて測定した。この方法の利点はvector-meson-dominanceと呼ばれるハドロン反応をきれいに取り除くことができる点である。これにより光分解反応によるチャームの生成率を測定することが出来た。
理論面での進歩は以下の通りである。
1.上記の測定にていずれもこれまで考えられていたチャーム粒子の生成率が低すぎることが判明した。その理由の一つは光分解反応における理論である。光の中に強い相互作用を介在する粒子グルオンが多く含まれることを示した。
2.強い相互作用はその強さ故、大きな高次補正を含むがこの効果が非常に大きく、又、それにより説明可能であることがわかった。
3.超対象性粒子により上記の生成率異常を説明することが困難であることがわかった。
4.強い相互作用の高次補性を含むモンテカルロ計算の手法の手がかりが掴めた。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】900千円 (直接経費: 900千円)