不均一な弾性体の力学特性の研究に基づくメカニカルメタマテリアルの設計原理の解明
【研究キーワード】
しなやかな構造 / シェルの力学 / 力学 / 幾何学 / 複雑系 / ソフトマター / Crumpled paper / ソフトマター物理 / 構造力学
【研究成果の概要】
微細構造を精緻にデザイン可能なシェルとしたシェル構造の集合体の力学応答を実験的に明らかにすることを目的として研究を行なった。シェル構造のなかでも負のガウス曲率をもつ鞍型のシェル(ポテトチップス型)に着目する。鞍型のシェルはお互いに重なり合うことができないため、集合体は多孔性をもち 、乱雑な構造をなすが力学応答は制御可能であることが期待される。鞍型のシェルをさらに単純化した、曲がった梁構造の集合体を考えた。円筒形に曲がったシェルを精度良くかつ効率よく設計するための実験手法を開発した。PET-G 製板の熱可塑性を利用して円筒形シェルの曲率半径を設定した。レーザーカッターによりリボン状に切り出した真っ直ぐな板を円形の鋳型にはめこみ、内側にゴムをはめ入れることで均一な半径をもつ円状に曲げた。さらに鋳型ごと熱湯に入れ冷却することで、一様な自発曲率をもつ円筒形シェルを作成した。本手法を用いて、2つの円筒形シェルが互いに押し付けられた際の大変形の様子を明らかにした。力変位曲線と形状観察によって、しなやかな構造同士が接触によってどのように変形するのか明らかになった。変形の様子はシェルの幾何形状に応じて、滑らかにつかみあう滑り変形、突っ張ったシェルが素早く跳ね返りつかみあうスナップ変形の2種類の変形をすることがわかった。実験に加えて離散シミュレーションも実施した。集合体としての応答も明らかにするため、アクリル容器を作成し30個のシェルをランダムに配置した系の圧縮試験を行なった。圧縮に際してシェル同士が互いにはまり合うことで低荷重が維持されることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-03-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)