生体組織の成長を理解するための新規力学モデルの発展と応用
【研究キーワード】
組織力学 / 個体発生 / 連続体力学 / パターン形成 / 発生生物学 / レオロジー理論 / 固体発生 / 細胞集団協同運動 / 多細胞連続体モデル / 理論生物物理学 / 形態形成 / 統計学的手法
【研究成果の概要】
(1) 生体組織の連続体モデルの開発をおこなった。このモデルは、細胞形態変化、細胞再配置、細胞分裂・細胞死などが複雑に絡み合う組織の変形を記述できる。さらに、フェーズフィールド法によって、組織全体の形態や二種細胞系を扱えるようにモデルを拡張した。(2) 細胞輪郭が可視化された動画データから細胞や組織の変形をテンソル量で計測する手法を改良し、連続体モデルで提案した関係式の検証を行った。(3) 細胞集団のパターン形成過程を調べた。分子量保存による粗大化、曲面が引き起こすパターン伝播機構について、パターン形成について一般に言える新規な現象を発見した。
【研究の社会的意義】
分子・細胞の振る舞いから現れる多細胞パターンや多細胞組織の物性を理解することは、個体発生や再生、創傷治癒、免疫応答の統合的理解に重要である。細胞の再配置や分裂など、組織の変形は複雑な過程であり、数理的な記述が確立してはいない。本研究では、細胞の形態自由度を取り入れた連続体モデルによって、細胞分裂による組織成長や二種細胞混合系のモデルを構築した。同時に、動画データから細胞や組織の変形を解析する手法を確立し、理論モデルとの整合性を確認した。さらに、曲面が引き起こすパターン伝播機構の発見など、新規で基本的な知見を得た。これらは今後、多細胞組織の力学モデリング、データ解析に広く活用されると期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
杉村 薫 | 東京大学 | 大学院理学系研究科(理学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)