時間分解角度分解光電子分光による高温超伝導体のヒッグスモード観察
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
光電子分光 / 超伝導 / レーザー / 非平衡物性 / 非平衡物理 / 時間分解光電子分光 / 高温超伝導体 / 物性実験 / 光物性
【研究成果の概要】
銅酸化物や鉄系超伝導体では、キャリア量によって、純粋な超伝導状態から、超伝導が擬ギャップ状態や電荷・スピン密度波と混在する特殊な状態まで実現するため、自発的対称性の破れに伴う励起モードを研究する格好の舞台を提供してくれる。我々は波数分解したスペクトルが得られる時間分解ARPESによる電子系ダイナミクスを研究した。超伝導とは無関係に長時間の緩和成分が観察され得ることを示し、「遅い緩和=超伝導の再構成」の構図そのものを再検討する必要性を見出した。また、pump光の強度によって緩和時間が大きく変化することを見出し、これまでの実験結果の食い違いを説明した。
【研究の社会的意義】
液体窒素温度を超える高い臨界温度を示す超伝導体が約30年前銅酸化物において発見れて以来、銅酸化物高温超伝導体は物性研究の対象として長らく主役を担ってきた。それにも関わらず、高い超伝導臨界温度が生じる機構に関しては未だ統一した見解が得られていない。 超伝導は、伝導を支配する電子が多数の対を組むことで安定化し、背景にある格子振動や不純物による散乱を受けることなく電流を流す特異な電子状態である。超伝導の発現機構を解明する上で、電子同士を対として結びつける”のり”を同定することが重要であり、Bi2212の時間分解ARPES研究で見出した電子系ダイナミクスの理解により応用研究への波及が期待される。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)