マイクロ・ケルヴィン温度領域の物性-電子および核-
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
核磁性 / 超低温 / 重い電子系 / 緩和時間 / CDW / 超伝導 / アルカリ金属
【研究成果の概要】
初年度に研究会を2度開催しそれによって幾つかの共同研究が行われた。特に阪大大貫教授の研究室で作製している高品質の結晶を使用して超低温領域での測定を行う共同研究が幾つか行われ大きな成果を挙げた。
CeRu_2Si_2;金沢大学:重い電子系の物質として知られるこの結晶は、これまで希釈冷凍機温度(〜数10mK)までの測定で非磁性の物質であることが知られていた。しかし試料依存性もありより低温までの測定は無かった。大貫研究室の高品質の単結晶試料を用いた約400μKまでの静磁化の測定がなされた。その結果試料に依存する不純物によると思われる磁化は約1Kまでで死んでしまい温度変化しなくなる。その後再び磁化は低温になるにつれて上昇する。その磁気モーメントの大きさは約0.02μ_Bと小さい。約400μKまで磁気的転移をしない。重い電子系でこのような超低温まで非磁性の物質は大変興味有る。今後さらに低温までの測定を計画中。
PrIn_3;東大物性研:hyperfine-enhanced核スピン系として知られるこの物質が約0.13mKで反強磁性に転移することを観測し、比熱および磁化測定からこの物質のスピン構造を推定した。
PrCu_6;大阪市大:hyperfine-enhanced核スピン系として知られる紺も物質の2.2mKでの核磁気秩序状態を詳細に測定し特異なドメイン構造を取っていることを明らかにした。核スピン系の実験室系での測定でドメイン構造の観測は初めてである。
その他の共同研究;筑波大学と金沢大学:Sc金属の核スピン構造を理論計算により求めた。
大阪市立大学と金沢大学:Sc金属の核スピン一格子緩和時間に関して実験的、理論的研究がなさらえた。
【研究代表者】