新規有機超伝導体における「電荷秩序相」と「超伝導相」の競合と共存状態の解明
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
強相関電子系 / 有機導体 / 超伝導材料・素子 / 分子性固体 / 磁性 / 有機超伝導体 / 電荷秩序 / チェッカボード型 / 圧力誘起 / DMBEDT-TTF
【研究成果の概要】
新規有機超伝導体β-(meso-DMBEDT-TTF)_2PF_6の常圧および圧力下における詳細な抵抗および磁気抵抗測定を行い、電荷秩序と超伝導の関係を調べた。
具体的な成果は以下に示す。
(1)詳細な圧力下電気抵抗および磁気抵抗測定による超伝導相の決定
詳細な圧力下の電気抵抗測定を行ったところ、0.6kbar下、4.6Kで抵抗ドロップを確認し、磁場で転移が抑えられることから超伝導であることを確認した。さらに、圧力を印加したところ、5.2kbar下、2.6Kまで広範に超伝導相が広がっていることを確認した。
(2)磁気抵抗の温度依存性および磁場依存性による電荷秩序相の決定
β-(meso-DMBEDT-TTF)_2PF6は特徴的な電気抵抗の温度依存性の振る舞いを示し、たとえば0.6kbar下においては、60K付近で抵抗最小値をもち、温度低下とともに約8倍上昇して、4.6Kで抵抗ドロップを示す。この圧力下50K-8Kの抵抗が上昇する温度範囲でラマン分光により電荷秩序の存在が示唆されているが、この範囲において、大きな磁気抵抗が観測される。この磁気抵抗増加率(ΔR/R(OT))は圧力とともに増加して、温度低下とともに電気抵抗が減少する金属相でも観測される。このように、広い圧力範囲で静的および動的電荷秩序相が存在し、超伝導相と隣接することが圧力-温度相図により明らかとなった。
以上のように、本課題で、電荷秩序相と超伝導相は隣接し、お互い競合することが明らかとなった。分子性超伝導体でこのような隣接、競合を実験的に示したのは初めてであり、意義深い。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 一志 | 東京大学 | 物性研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
木村 伸也 | 東京大学 | 物性研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,110千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 210千円)