フッ化炭素系層状物質の電子構造に関する理論研究
【研究分野】固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
【研究キーワード】
フッ化炭素 / グラファイト / 電子状態計算 / 直接遷移型半導体 / ナノグラファイト / 磁性 / 層状物質 / バンド構造 / ダイヤモンド
【研究成果の概要】
我々は,グラファイトや窒化硼素などを出発物質としてフッ素化を行なうことで,1.バンドギャップが可変なワイドギャップ半導体の合成や,2.炭化水素など軽元素のみからなるナノスケール磁性体の合成が期待されることを,第一原理的分子動力学法計算等を利用して理論的に解明した。具体的な成果は以下のようにまとめられる。
1.ダイヤモンド薄膜がフッ素終端された構造の積層物質と考えられるCnFの組成比を持つフッ化炭素は,n=1,2,3では直接遷移型ギャップを持ち,nが4を越えると間接遷移型ギャップを持つことを示した。そして,半導体レーザーとして応用した場合の発光エネルギー帯域を特定し,発光特性を理論予測した。また,半導体超格子として応用した場合の,電子,正孔レベルの推定,2次元電子系としての特性の理論予測を行なった。加えて,窒化硼素のフッ素化物の理論予測を行い,構造安定性,誘電性の推定を行なった。
2.ナノグラファイトとして知られる微小グラファイト素片や有限長ナノチューブを出発物質として,旧来磁性発現の可能性が議論されてきたナノグラファイトに積極的に磁性を発現させる方法を理論的に同定した。その結果として,水素付加,フッ素化やフッ素置換,酸素置換などがナノメータスケールにあるグラファイト状炭素物質に局在磁性を発現することを示し,磁性物質の合成方法を理論的に提案した。
3.炭素系物質などを念頭に電子相関効果を取りこんだ第一原理電子状態計算の新たな展開を図るため,拡張コーン・シャム方程式の導出やトランスコリレーティッド法の高速化などを行なった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
常行 真司 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)